御祭神

 祭神は現在、誉田別命、天照大神、武内宿禰命、荒木田襲津彦命、春日大神となっていますが、古書を 紐解けば様々な記述があります。『新編武蔵風土記稿』は、天照大神・八橋大神・春日大神としていますが、『武蔵風土記』には応神天皇を主神として、武内宿弥・荒木田襲津彦等を配祓するとあることを紹介しています。また『日本総国風土記』にはこれとは異なる記載がなされ、園韓神・少彦名命となっていて、三様の祭神説があることがわかります。

 いずれにしても天照大神・八幡大神・春日大神の三神を一組で祓るようになったのは、八幡信仰が民間に浸透するにつれて、八幡大神がすぐれた託宣能力をもつことから、これに伊勢神宮と春日大社の強い神霊を合せ、三社がそれぞれ正直・清浄・慈悲の徳目をあらわすとして、三社託宣が普及するようになってからで、中世以降のことと考えられます。

 つまり、延喜式の制定された時代に、上記の三神が当社の祭神であったとは考えられないので、これらは当社の起源からの祭神ではないと思われます。では、当社のそもそもの祭神はと問われても、今は不詳であるとしかいいようがなく、強いて答えれば、蒲(薭)田神と言うことになるでしょう。

 ところで、祭神を応神天皇と記している書物も複数見られます。これは当社を長らく八幡神社と称してきたことにより頷けるのですが、八幡神を勧請したのは、古く見ても鎌倉時代で、これもまた、もとからの祭神ではないと言えるでしょう。

 ちなみに他の三つの論社は、いずれも現在、祭神を誉田別尊としています。

誉田別命(応神天皇)(ホンダワケノミコト)

 八幡大神と称えられ、武の神、殖産興業の神、学問の神、厄除け開運の神として、巾広い国民の信仰を集めています。

天照大神(アマテラスオオミカミ)

 伊勢皇大神宮を総本宮として称えられる神様で、皇室の祖神、日本国の守護神です。神話を通じて一般的によく知られた神様です。

武内宿称命(タケノウチノスクネノミコト)

 誉田別命の出生の神秘にかかわる沙庭を務めた方で、比売大神、仲哀天皇、神功皇后と共に八幡大神の御神徳の一翼を荷う神様です。

荒木田襲津彦命(アラキダソツヒコノミコト)

 事踏不詳

春日大神(カスガノオオカミ)

 藤原氏の氏神・春日大社にまつられている神様です。藤原氏の家門隆昌と共にその信仰が全国に広まりわけても中世において三社託宣と称して、天照皇大神宮・八幡大菩薩・春日大明神の教えと共に、神・儒・仏習合の波にのり、庶民の信仰をあつめました。